金曜日は会社の後輩の送別会でした。
ちょっと熱いものがこみ上げて来たので、書き留めておこうと思います。今回は真面目パターンです。
その前に…世間ではちょっとした転職ブームなんでしょうか?転職サイトの広告やCMを見ない日はありませんし、転職ネタのブログもよく拝見します。
労働力の流動化?
もっともらしいことを言えばそんな感じなんでしょうけど、個人的にはあまり転職には前向きにはなれず…保守的なのは年齢のせいでもあるけど、多分、私が今の会社の仕事内容や待遇に満足しているから。現状より条件の良い転職先があるとは思えない。
ま、ここに至るまでの苦労もあったから、尚更、辞めたいなんて思えないんですけどね。
話を送別会の主役、入社6年半の彼に戻しましょう。
彼は九州にある国立大学の経済学部を卒業後、新卒で入社してきました。
ちょっと甘いマスクの…賀来賢人似?いや、尾上松也?いやいやテノール歌手の秋川雅史か?とりあえずイケメンです。
入社して3ヶ月ほど現場作業を含む新人研修があり、7月より営業部に配属されました。この部署はみんながみんな忙しくて、付きっきりで業務を教えるという雰囲気ではなく、少しずつ実戦で試していく流れで教えていた感じでした。他部署なので細かいことは分かりませんが。
そして毎日、営業部長から1問ずつお題を出されていて、それをレポートにして帰り際に提出する…でも答え合わせはない……という毎日を送っていたようでした。そのお題とは営業に関わることだけではなく、「分からなければ他部門に自分で聞きに行って調べてこい」と。
その流れで彼は経理課にもちょこちょこ質問しに来てました。我が経理課には彼の1歳年上の女子がいます。彼女も国立大卒ですが、フワフワしててカワイイんです。
「MPQ率って何ですか?」
「損益分岐点とは?」
まず先輩であるフワフワ彼女のところに質問にきます。そうすると、彼女から私にヘルプが来ます。フワフワしてると見せかけて、彼女も私も負けず嫌い。絶対に「分からない💦」とは言いたくなくて、2人して必死に調べて答えてました。
なぜ、答え合わせもないのにこんなムチャブリをさせてるんだろう?
もしかして目的は答えにたどり着くことではなく、営業職ということから臆すことなく誰とでも自らコミュニケーションをとって、新人の彼の顔を社内の人に認識してもらおうという意図があったのかな?なかったのかな?
と、私は勝手に推測してましたが、結局今でも分からずじまいです。
そして8月のお盆休み明けくらいから…彼は会社に来なくなりました。そうです。メンタルをやられてドクターストップです。配属1ヶ月ちょっとで。
ちょうどその頃、我が経理課も急に辞めていった前任者の後釜が見つからず、契約社員で入社してきた40歳過ぎで税理士試験を目指しているという肩書の男が、あまりにも木偶の坊すぎて私はブチ切れる毎日を送っていました。いやいや…目指すだけなら誰でも言えるって!こういうのに、面接で騙されるウチの上司って…💦
その木偶の坊は言いました。
「大学は行ってません。だって、行く必要性を感じなかったから!」
って、20代から勉強して未だに税理士試験の科目合格できてないんだろ?
大学行って、院まで行けば税法2科目は免除になるものを…行けよ、大学!
行かなかったんじゃなくて、行けなかったんだろ?
理論ばかりでこちらの言うことを小馬鹿にして聞かない頭デッカチの中途採用者より、よっぽど新入社員の彼の方がピュアで前向きな姿勢で働いてくれると思うんだけどな〜。でも、休んでるんだよな〜。
ちなみにこの木偶の坊は、この後、約1年後に家庭の事情(実父の介護と嫁の初産)のために退職しました。もともと、なぜ、大分から福岡へ単身で引っ越ししてまで転職してきたのかが私には理解不能でしたが。
出稼ぎ???
ことあるごとに、私は上司に言いました。
休んでる彼が、もし、まだウチの会社で営業以外で働いてくれるなら…経理課へ呼べませんか?彼は簿記の経験こそ無いかもしれませんが、経済学部卒業で、営業部長が出してくる答えのない問題にも真摯に取り組んでました。彼なら経理でやっていけると思います。
ホントにそうなの?
と、始めこそ上司は私の話を聞き流していましたけど、12月初旬、当時の経理課長に会議室に呼ばれて
「12月16日付で彼を営業部から経理課へ異動させることに決まったから」
と伝えられました。
やったー!
ん?でも、その日は…私は有休とって娘と夢の国へ行く予定なんです💦
言い出しっぺなのに、ゴメンナサイ…。
翌週、出勤すると「なぜか経理課にくることになりました」と照れ臭そうに挨拶する彼に
そ!アナタはこれから経理で飼い殺しね💕
と冗談まじりに言いました。ま〜、本人もビックリの人事ですもんね。
でもね、経理って知ってて損はない情報がたっくさんあるところ。
経理の仕事が向いてないと思っても、他の職種に転職するにしても、財務諸表を読み取れることは絶対に武器になる!と彼に説明しました。
他部門のお姉さまたちからは「イケメンだから呼んだんでしょ?」とか言われましたけど…まぁ〜、無くは無いな💦
それからの彼は…元来が真面目な性格で地頭も良いので、経理未経験と言いながらもメキメキと業務をモノにしていきました。経費の管理や原価まわり、最終的には人事秘にまつわる人件費関係も担当していました。PC作業も断然早いので、上司からの信頼もひときわ厚くて。
しかし、そんな彼には苦手分野が一つだけありまして…
大勢の人前でプレゼンすること
新入社員は入社1年後(翌年3月)に1年間学んだことを役職者や従業員の前で研修発表を行うという例年行事があります。でも彼は初年度4ヶ月も会社を休んでいることから研修発表は免除されました。真面目に営業職で頑張っている他の同期からしたら理不尽ですよね。なのに、人員の少ない経理だと今後、昇給や昇格のチャンスが自分達より先に訪れるとしたら?他の同期は納得しないだろうな〜、と思っていました。
翌年の小集団活動の発表は彼に任せよう
小集団活動って知ってます?
課や係、グループごとに10人弱でテーマを決めて業務改善活動を行うんです。それぞれに役割を決めて定期的に(ウチの課は月に1回程度)ミーティングを行うのです。そしてどのくらいのムダ改善ができたのか時間や金額で評価します。そのプレゼンを社内で行い、優秀な部門は親会社が主催する大会に参加するのです。間接部門は年度ごとに輪番制でプレゼン担当部門を決めてました。その年は経理課が担当となる年度でした。
発表も視野に入れて、小集団テーマとリーダーを決めたその翌日…再度、彼は会社に来なくなりました。
ハァ〜〜〜💨💨💨
やっぱ、ダメか……⤵️
それだけがトリガーとなったわけではないようですが…またもやドクターストップ。
自分は何もできない…こんなこともできないのか…何をやっているんだ???
と苦悩していたらしいです。
いやいや、入社3年目くらいですよ?
経理業務をウン十年やってる私でさえ、上司に怒られることだってあるのに…全部を完璧になんて無理だよ。だったら私はどうなるの?
経理、なめんなよ💢
と正直思ってました。
2ヶ月後、彼は復帰してきます。
もう大丈夫です!と。
私は様子を見ながら業務をお願いしてましたが、彼のレスポンスが早いことから部長や課長が彼に直接依頼することが多くなりました。そして計画業務では役職者を相手にヒアリングしたり、審議会に参加したり…。
これには私はずっと不満を感じていて、モノを作る会社の計画業務で原価試算をしている私は審議会に参加できないのに、経費管理の担当の男性はなぜ2人も参加してるんだろう?と…圧倒的に情報が足りない中で私にどうやって試算しろと???
まぁ、イライラして荒れますわな…。
こういうところが未だに男性社会なんだな…。
そうなってくると、男性社員に私が教えることって別にないじゃん!って思っちゃって、もう何も言うまい…。そしてそうこうしてるうちに、このコロナ禍ですよ。在宅勤務も多くなって、私自身も仕事に対する情熱が薄まってしまったんですよね。。。
そしてコロナ前からですが、親会社がやたら2022年度には利益率○%を達成することって厳しく言って来てて、ま、それって東京オリンピックがちゃんと開催されると思ってた時期だし、まさかこんなに経済状態が悪化するとは誰も想像してなかったから無理もないことなんだけど、親会社も厳しく言っていた手前、引くに引けないのか?利益率の件を撤回する気配ないし…ここ1〜2年の計画審議会は、結構、殺伐とした空気で行われていたようです。
そして、8月後半。ウチの娘がコロナ陽性となり私が自宅待機を余儀なくされた週の課内会議でおもむろに彼の退職の件が告知されました。私は1人、リモートで参加していて、その場の空気感が全く分からず、彼が「引き継ぎの件とかで皆さんにご迷惑おかけすることとなります。申し訳ありません。」と。課員全員、黙ったまま会議を終えました。
え?私には相談とか無かったし…
そう考えると、なんだかもう、裏切られた気分で…。
確かに30歳を目前にして、転職するなら今なんじゃないか?と、悩む時期にこの転職ブーム…そして、イヤでも自社の経営状態がわかるポジション…そりゃ、焦るよな💦
そうなってくると…心配なのは、彼の動向を機に転職を考えるアラサーが出て来ないとも限らないよ?だって…審議会に出ている、損益が分かる人の転職よ?
この会社でこのまま働いて大丈夫?
ヤバくない?
って思う若者が続出したら会社としていかんでしょ?彼の退職は秘密にしておかないと!
10月いっぱいまで在籍予定ですが、来週からは有休消化ということで14日金曜日が出勤最終日でした。彼が他部門に退職の挨拶に行くたびに
え?この人、何言ってんの???
そんな話、聞いてないよ?
なんで?なんで辞めると??
という態度を相手に取られたらしく、「なんだか僕、変な人扱いされました。」と帰って来ました。そして案の定、
「次の会社って決まってると?どうやって転職したと?」
と聞かれたとも…ほらね、だからナイショにしてたんだよ。
送別会も終わりに差し掛かって、彼から一言。
新卒で入って来て、経理なんてわからない世界だったけれども、イチから教えていただいて、次の会社でも経理として頑張っていこうという目標ができました。(日商簿記1級を仕事中にこっそり勉強していたことを私は知っている…)
号泣してます。感謝の言葉を述べながら、めちゃめちゃ泣いています。
それ聞くとね〜。
経理課に異動して来たときの、あの時の会話が脳裏によみがえって来て私まで目頭が熱くなってきました。だって経理に引きずり込んだ言い出しっぺは私よ?いやいや、彼の努力に勝るものはないんだけどさ、きっかけは私だよ。彼は会社こそ変わるけど、これからも経理マンとして生きる道を選んだんですよ。
他人の人生に
確実に影響を与えたんだな〜
と思うと、なんだかものすごく熱いものがこみ上げて来ました。
あの8月後半の退職告知からずっと心のどこかで「裏切られた…」とショックを受けていましたが、この瞬間、そのわだかまりがサ〜っと無くなっていくのを感じました。
ま〜、終わり良ければ…。
そしてお別れのとき。
送別会を開いたお店が彼の家の最寄駅だったので、駅まで歩いて、彼以外は地下鉄へ。改札口で、またもや号泣。嗚咽。とんだ泣き虫だよ💦
みんなが改札口を通って見えなくなるまで手を振ってました。
ウチの課としては偉大な戦力を失って、来週からのことを考えると気が重くなりますが、彼の人生、誰も待ったをかけられないですもんね。新天地で、気負わずに彼なりのペースで活躍できることを願っています。
ところで、この文章を読まれた方は「おい、お前の会社は大丈夫なのか?」と思われると思いますが、上期に製品の値上げを行なって少しずつ効果が表れて利益回復しています。日本企業はどこもそうだと思いますが、値上げしないともうムリですよ💦
気づけば、なかなかの長文ブログになってしまいました。おかげで私の心の整理ができました。
ここまでお読みいただいてくださった方、どうもありがとうございます。