pino-milkのブログ 〜日々そこはかとなし〜

趣味は人間観察。令和の吉田兼好と呼ばれたい。

性善説だけではやっていけないよ

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連日ニュースで目にする(耳にする)山口県阿武町の4630万円誤送金問題。

 

腹がたちますね💢

 

 

このニュースを初めて知ったときに真っ先に私が腹をたてたのは、町役場側の方です。全てがおかしい、この21世紀に言ってることとやってることが時代遅れすぎる!!

私だってウン十年も経理マンとして生きてきてるんです。どうやったらこんなことなるん???理解できなくて、このモヤモヤとした違和感を随分と考えました。

『振込処理をミスしたのは新人さんで、本人は食事もノドに通らないほど憔悴しきっている』って役場側のコメントがありましたが、そりゃそうでしょうよ。そんな大金…右から左に個人が補填できる額面じゃないよね。

 

今日のブログタイトルは親会社の会計課長が、数年前の会計監査後の食事会の席で、当時新人だったKくんに言ったセリフです。

経理の仕事は性善説だけではやっていけないよ」

……カッコイイじゃん!

 

実は私も似たようなことを常々周囲に言っています。

「伝票やエビデンスをチェックするときは刑事の目で疑って見ていくように!見落として検認してしまうと、万が一不正が起きたときに自分まで巻き込まれてしまうよ」

そんな訳で、今回の山口県阿武町の誤送金に関しては杜撰な管理体制と出納担当のぼんくらぶりに私としては役場側に1ミリも同情できず。間違ったら返してもらえばイイやって、世の中に善人しか存在しないって思ってるんだろうね〜。頭の中がお花畑すぎる…。そもそもお金に関することは『間違うな!』コレに尽きる。

 

 

発端となった経緯をおさらい

問題が公になったのは先月15日。新型コロナウイルスの影響で生活に困窮する世帯に10万円を給付する国の臨時特別給付金について、町が会見で対象のすべての世帯分にあたる4630万円を1人の口座に誤って振り込んだことを発表した。

町によると、対象となった463世帯への振り込みは先月3日、フロッピーディスクに入ったすべての世帯分の口座情報を銀行に渡し、手続きは完了した。

ところが6日になって、町は本来提出する必要のない紙の振り込み依頼書を誤って銀行に提出。依頼書の指示どおり、いちばん上に記載があった男性に一括で4630万円が振り込まれる手続きが取られ、その結果、先月8日、男性に現金10万円と4630万円が二重に振り込まれた。

町はこの日の午前中、銀行から二重に振り込まれているという指摘を受けて誤りに気付き、直ちに男性に謝罪するとともに返還の手続きを行うよう求めた。

 

【違和感①】

出納担当者は銀行から問い合わせがあるまで、二重に4630万円が口座から引き落とされていることに気づかなかったのか?

当初の予定より2倍の金額が支払われている訳で、明細を見るまでもなく残高も大きく違ってくるんだと思うが…?出納担当者は日々、日計表の照合を行わないのか?

 

 

【違和感②】
21世紀のこの世の中で未だにフロッピーディスク(FD)が媒体として使われている世界があったんですね…ビックリです。
私が結婚する前に勤めていた会社(1998年ごろ)では、給与振込データをFDと紙の一覧表のセットで銀行窓口に持ち込んでましたが、未だにその文化が銀行取引として残っていたことに驚きです。もはやインターネットによる伝送処理に淘汰されたものと思ってましたが…。
そもそもFDとかデータを持ち歩くこと自体、リスク高くないですか?町民の振込先とか個人情報がバッチリ入ってるんですよ。落としたり無くしたりでもしたら取り返しつかないのに…。更に、いくらダブルチェックしたとして、後から、銀行に持ち込む前に内容の書き換えとかできそうだし…。
その点、インターネットバンキングによる振込伝送処理は、担当者が入力(またはファイル添付)した後、その上役が確認して承認という手順をふまなければ銀行側にデータが届かないので安心。たいていの銀行はID取得時に電子証明書ワンタイムパスワードを取得しなければいけないので、なりすましログインも防ぐこともできます。あとはIDそれぞれに適正な権限を付与しておけば、確実にダブルチェック体制となるものを…。

 

 

【違和感③】
FDだろうと紙の振込依頼書だろうと預金を払い出すには銀行印が必要だと思うんですけど?それも新人さんが全部押せちゃう環境なんですかね???
多分、違いますよね?決裁を行った上役が必ずいるはず。自分が何に印鑑を押してるのか全く興味ないんでしょうね。あり得ない…。記憶できないんであれば、今後は押印簿なり何かしら台帳を作って何でもパカパカ押印しないように管理するべきですね。

 

 

何故こんなミスが起きたんだろう?って考えれば考えるほど、公金を簡単に横領できちゃう管理体制に思えます。まさに性善説
民間企業だったら、こんなのあり得ないです。特に昨今は、コンプライアンスだの金銭不祥事に関する研修だの企業の経理マンは厳しく教育されてます。なのにお役所仕事でゆるゆる出納が許されている現実があるなんて、なんだかものすごく経理業務をバカにされてる気分です。
ここ数年では地方自治体による『ふるさと納税』という寄付金集めの手段もスタンダードになってきましたが、山口県阿武町に関してはゆるゆる出納が今回の報道で世間に明るみになってしまって、恐らく誰も寄付しなくなるんじゃないですか?少なくても私は絶対にしません!
…と言いつつ、一応、何があるかチェックしてみました。フグとか???ふ~ん💦

 

 

 

とりあえず、誤入金を受け取ってあぶく銭のごとく使い果たした24歳男性は逮捕されちゃいましたが、返金する術があるのかないのか?かなり厳しいでしょうね…。彼も浅はかでバカなことしたな~とは思いますが、誤入金さえなければ人生が狂ってしまうこともなかったかもしれないのにね。
いろんな人の人生を狂わせてしまったミス。

ミスが未然に防げるような管理体制を整えることが急務ですね、町長!